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ペルシャ絨毯とは

様々な異民族支配の時代にも絶えることなく、灼熱の太陽や厳しい寒さに耐え自然を慈しむ人々によって
数千年の昔から受け継がれてきた伝統、それがペルシャ絨毯です。
ペルシャ絨毯の起源は定かではないですが、今から3000年~4000年前と言われています。
現在、最も古いペルシャ絨毯は、ロシアのエルミタ―ジュ美術館にある、永久凍土で腐食しないでいたという
バジリク古墳から出土したものとされています。
しかしながら今私たちが目にしているようなパイル織ではなく、
獣毛を固めた様なものと推測され、その時代に作られています。
この時代をそのまま受けて、絨毯起源の場所と年代を特定するのは難しいのですが、
どのあたりで作り始められたかについては想像することができます。
ペルシア王朝時代から織り継がれてきた、歴史の産物とも言われるペルシャ絨毯。
踏まれることによって魅力が増す、唯一無二の床の上の芸術と言えるでしょう。
全て手織りで仕上がっている、技術者の習練された技は息をのむほど。 その文様の美しさは、
宮廷画家がかつて描いたデザインを元にしているとも言われ、他にも神秘的な文様がたくさんあります。

ギャッベとは

ギャッベとは、イラン南部に広がるザクロス山脈周辺で古くから遊牧生活を送る
カシュカイ(Qashqai)族の織るウール100%・手織りの絨毯のことです。
ギャッベに描かれているモチーフは、 ザクロス山脈のふもとで暮らす遊牧民が、毎日目にする風景。
大家族が一緒に暮らす大きなテント、羊やヤギ、そして遠くに見える山々や草原。
そして時折、風景に溶け込むように人間たちの姿が登場します。
ギャッベに使われているウールは保温性、吸湿性に優れていて、 見た目から想像するより夏でもサラリと快適
またギャッベは遊牧生活のテント内での使用にも耐えるため非常に耐久性が高く、
汚れにも強い絨毯です。世代を超えて末永くお使いいただけます。
手紡ぎ・草木染・手織りで作られるギャッベは、同じものが存在しない世界にひとつの絨毯です。

1つ1つの柄にも深い意味があるんです。

ペルシャ絨毯には遊牧民の夢や祈り、信仰心などが込められ、意味の無いモチーフは無いと言われる程、象徴性に富んでいます。

ライオン=権力、勝利、深い知恵

ラクダ=健康、幸福、財産

生命の木=内なる人生、命、長寿

鳩=平和

孔雀=美しさの象徴、新生

ザクロ=富、満足、子孫繁栄

鹿=家庭円満、子供の健康、成長

鳥=神様からの使者

羊・ヤギ=豊かさ、財産、不自由ない暮らし


解釈の違いは多少ありますが、込められた思いや意味を知ることでより愛着のわく一品となります。

色鮮やかな自然の恵み

およそ3000〜5000年も昔から天然染料で糸を染めてきたイランの歴史。
遊牧民にとって、植物や昆虫などの自然の恵みを余すところなく使い、絨毯の色合いに染め上げてゆきました。
歳月とともにツヤを増し、少しずつ進む日焼けによって枯れた味わいをかもしだします。
天然染料は長い時間をかけながら、ゆっくりと味わいを増してゆくだけでなく、防虫作用もあるため、長い付き合いが可能なのです。

色とりどりのペルシャ絨毯は、自然の宝庫です。 黄色は、乾燥させたざくろの皮、
アスパラの花、サフランの花、牧草の一種であるイスペレク、ブドウの葉から作られます。
黒は黒羊から摂取した羊毛で、青は藍から。
赤は、茜の根やコチニールと呼ばれるサボテンにつく貝殻虫の雄から作られています。
茶色は、クルミの皮やカシの皮、そしてベージュはアカシアから生まれます。
色の少ない砂漠地帯に生活し、これらの色が遊牧民を束の間でも幸福にさせたのだろう、と遠く思いを馳せてしまいますね。

ショールームには常時2000点の絨毯を展示しております。

お気軽にどうぞお越しくださいませ。